Rは、高校卒業後、フリーターになっています。
それは、ちゃんとした会社の社員になったところで「自分にはやりたいこと・夢がある」ため
それを貫く為には、正社員になってもいずれ辞めることになるのが分かっているから
会社に迷惑が掛かるので最初からフリーターで8時間頑張り、残りの時間(曜日も含む)を
その「将来なりたいこと」への夢に向かって頑張っているのです。
Rは、ある大手スーパーの中にテナントとして入っている持ち帰り寿司の厨房&レジをやっています。
オープニングスタッフだから一番の古参なのだけれど、歳は一番若いので
後から入ってきたパートさん達には、敬語で教えているようです。
よく彼の同僚の話題が食卓で出るのですが
Rは、とっても話術が上手く、タイムリーな言葉をタイムリーな場所で使うので、私はいつも笑ってしまいます。
今回は、あるパートさんの話をしようと思います。
(でもほんとだったら、彼の口から聞いたほうが数倍おもしろいのですが)
「今日はIさんが、泥棒に品物を渡しちゃったので大変だったんだ」と。
Iさん、というパートさんは、割と話題にのぼる、年配の女性です。
普段から、 「この人は、口ばっかりでまいっちゃう」と言っている人です。
自分は、輪切りが繋がった切り方ばかりなのに、 「Rくん、ネギの千切りが上手くなったわね」なんて言っちゃって、
あなたはほんとに主婦ですか、って聞きたいよ、と話した、そのIさんです。
今回もその人がある失敗をしたらしいのですが、的を得ていることを面白く言うので
笑ったあといつも「なるほど。。。。」と思ってしまうのです。
「泥棒に品物?!」
「うん。あるお客さん(男性)が”●●にぎりセットを作っておいて、今別の買い物をしてくるから。
レシートを切って置いてくださいね” と、言って買い物に行ったんだよ。」
「それで、Iさんが、はいわかりました、って受けたんだよね。
しばらくして、ある男性が、●●セットをずっと眺めていたから
Iさんが、 ”あ、さきほどの方ですね?●●セットの” と言ったら、その男性が
ハイそうです、って言ったから、そのセットを渡してしまったんだ」
「またしばらくしたら、”どうもすみません、●●セット、できてますよね?”って取りに来たんだよ。
何が言いたいか、わかる?」
「え?さっき渡しちゃったでしょ」
「そうなんだよ。それ、違う人に渡しちゃったんだよ。」 「え?」
「レシートを切っておいてといわれたら、名前を確認して預かるのが普通なのに
それをしないで、また別の人に渡しちゃった」
「じゃあ、さっき渡した人は・・・」 「そう。タダで持って行っちゃったから、泥棒。」
「それでどうしたの?」 「店長が、 ”Iさん、お名前を確認したんですか?”って聞いたら
Iさん、 ”だって似てる人だったから”って言ってるんだよ」
「俺、厨房にいて、”え!!!??『その当事者』に、じゃなくて『似ている人』に渡しちゃったのかよ!!”って
びっくりしちゃったよ。だってそうでしょ?『似ている人』に渡しちゃ、駄目でしょ、わかる?」
ここのくだりがものすごく面白いのです。Rはほんとに弁士だと思いました(笑)
「それで、店長とか、ほかの人にちょっと言われたら、 ”だって、だって似てたんだもん”って言うわけさ、
違うだろ、まずは、すみません、だろ、って思ったよ俺。」
「 ”もう、良いから、早く●●セットをお渡しして!レシートは切ったの?”って店長に言われたら
まだ切ってなかったんだよ、レシート。 レシートが出てくるのに30秒くらい掛かるんだから、
●●セットを作っている間に普通はお勘定をするでしょ。それをしてないからお客さんはいらだつわけさ。
それを感じてIさんも焦っちゃって、何したと思う?」 「さあ、わからない」
「レシートが出てくるのが遅いからって、レシートを引っ張っちゃったんだよ!(爆) そしたら、数字が
波打っちゃって(爆)、 ”あら、あら、何でかしら?数字が・・”って言うもんだから、店長が苛々して怒って
”そりゃIさん!あんたが無理やりレジから出てくるレシートを引っ張ったからでしょ!”って言ったんだよ。
それでそのお客さんが帰った後、手が空いた時にまた、どうしてさっきは名前を確認しなかったのかと責められたら、
また懲りずに ”だって似ていた人だし、何より、着ている服もチェックだったし”って言うわけ。
そしたら別のスタッフが”何言ってんだよ。さっきの人は緑色のチェックだろ!こちらは青じゃないか!”って言うんだよ(爆)」
ここのくだりもものすごくおかしくてRと一緒に大笑いをしてしまいました。
Rも自分で話していておかしかったのでしょう。いちいちそれぞれのスタッフの特徴をつかんで話すのです。
「そしたらIさん、メガネの奥の目からポトリと大粒の涙を流してるんだよ。
泣くのって、反則だよな~、まずはだってだって、じゃなくて申し訳ありませんってあやまるべきでしょ、 でも俺、
”目をこすったら明日腫れるから、こすらないほうが良いですよ”って言ったの。 そしたらすごく小さい声で ”はい・・・”って言った。」 「へえ。そう言ってあげたんだ?それで?」
「 ”もう良いから帰って良いですよ”って店長に言われて、
お先に失礼します。。。ってシュンとしてロッカーに行ったのがちょっとかわいそうだなと思ったんだよね、でもさ、タイムカードで自分のIDを押さないで行っちゃったんだよ。
1人の人が、出勤と退勤をきちんと押さないと、次の人が押せなくて、 (多分「認識システム」なんでしょう)
俺、次だったからすげえ困ってさ、
店長が走って ”Iさ~ん、帰りのタイムカードきちんと押してないよ~”って呼びに行ったら
”あら、あたしのIDが書いてある紙は、あそこのあの上に置いてありますよ”ってケロリとして
言うんだよ、もう俺げんなりしたわ。あのオバサン悪いけど疲れる(苦笑)」
年上の中で気を使いながら仕事をしているRの姿が目に浮かびます。
一度こっそりと見に行ったことがあり、家では見たことが無い態度で仕事をしているので感動したのを思い出しました。
実際に包丁を持ってネギの小口切りをし、それがお金を払って買ってくれる寿司の中に入っているのです。
言い訳をせず、まず最初にすみませんだ、と分かっているのです。
バイトであれ、外で働くのは、本当に人間形成に役立つなと改めて思った私です。
[いいですね] おぉ!良いハナシだ。うちのR画伯もいつかこうなるのかな。なってほしいなぁ。
投稿情報: yasuyuki | 2007年11 月16日 (金曜日) 04時53分
おはようです!
長い文を読んでくださりありがとうございます!
かわいいかわいいR画伯。なりますとも!
投稿情報: grybB | 2007年11 月16日 (金曜日) 07時37分
[いいですね]
うちのRくんも しっかり社会に出て色んな経験をして欲しいです。
人は痛みを知らなければ成長せぬ。
しかし、痛い人と付き合うのは 結構回りは大変です。(ハイ)
子供に教えられることも多い・・・今日この頃・・・。
投稿情報: ドコモダケ | 2007年11 月17日 (土曜日) 02時30分
ドコモさんちのRくんは、ある意味、同じ歳くらいの少年より一段上ったような印象がありますよ。
一段上ったのが早かったので、「こちらサイドに戻ってくる」時期も早いと思う。
成人したら優しい青年になるんだろうな。
楽しみだね。
痛い人と付き合うのは確かに苦痛だ。でも自分が周りから見て
「痛い人」と思われないほうが重要かな~なんて思う。
そういう意味ではドコモさんはまったくOKなんだから良いではないですか~♪
投稿情報: grybB | 2007年11 月17日 (土曜日) 08時18分